大人の学習はここが違う

こんにちは、コーチ・コンサルタント・カウンセラーの

MOMO(モモ)高橋澄子です。

 

 私はプロのコーチとして、また研修やセミナーの講師として、大人の学習をお手伝いしながら、学生時代の学習と違うことを強く感じます。

 

自分が何かを学ぶとき、また誰かに何かを教えるときに、大人の学習の特徴を知っておくと効果的です。

大人の学習研究とは

 大人の学習は「成人教育論」として研究されています。

その研究者である米国の教育者マルカム・ノールズは、大人の学習と子供の学習は特性が異なるため

 

・子供の学習を援助する科学と技術を「ぺダゴジー(Pedaggy)」


・成人の学習を援助する技術と科学を「アンドラゴジー(Andragogy)」

 

と区分し、子供、大人それぞれの特性を生かした教育が必要だといっています。

 

では、大人の学習はどんなところが違っているのでしょうか。

 

大人の学習の5つの特徴

子供と違い、大人はすでに多くの知識や経験をもち、そのことが学習にさまざまな影響を与えています。

1.大人は「実際に役立つこと」を学ぼうとする。

 すでに知識や経験をもっている大人は、多くのことを一から学ぶ必要があるとは思っていません。

 

今の仕事や生活をより良くするために役立つと思うときにのみ、学ぶ必要があると感じるのです。

 

2.大人が学習するには動機が必要である。

 学ぶことが必要だと思っても、実際に学習に取りかからないことも多いでしょう。

 

 実際に学習を始めるためには、今抱えている問題や課題を意識していて、

・自分が解決しなければならない役割を担うことになった

・解決したい意思が固まった

など、行動にうつすだけの動機があり、学習に向かう準備状態(学習のレディネス)が整う必要があります。

 

▶▶用語解説:学習のレディネス

 

動機は、自尊心を満足させたいとか、自己実現を図りたいとか、高次の欲求が関係していることが多いようです。

 

▶▶用語解説:欲求5段階説

 

3.大人は「自律的に」学ぶ。

 

 子供の学習では、基本的に教師の作成したカリキュラムにそって、教師の指導の枠組みにそって進みます。

 

大人の場合は、教師や講師から提供され指示されることを一方的に受け取る方法では満足できません。

 

自らの知識や経験を活かして、学ぶ意欲を高めたり効率的に学べる方法を提案したり、教える側のサポートをしようとします。

 

自分の意思で学び、双方向のやりとりを通じて自分の意思を反映させ、自分の判断で学びたいと思う傾向が強いのです。

 

4.大人は経験と照らし合わせて学ぶ

 大人は過去の人生でつちかってきた知識や経験に

価値をおいています。

 

新しいことを学ぶ際にも、必ず過去の知識や経験と照らし合わせて学んでいきます。

 

照らし合わせて学ぶことには、プラスとマイナスの両面があります。

 

プラスに働くと、新しく学ぶことを刺激として、過去の知識や経験をさらに掘り下げて考え、両者を融合してより深い理解に達することがあります。

 

これは、知識や経験が豊富な大人だからこそできるすばらしい学び方です。

 

反対にマイナスに働くと、自分の経験と合わない内容は受け入れない、「この仕事を長くやっているのだから、今さら勉強する必要はない」と拒否反応を生むことがあります。

 

そこで、新たな学習は、本人が価値をおく知識や経験と相乗効果をもたらすものであることが必要となります。

 

5.大人は「目的のため」に学ぼうとする姿勢が強い

 子どもの学習では、将来のどこで役立つだろう内容を、時間をかけて学んでいきます。

 

これは子供の学習が、生きるために必要な基盤をつくるためのものであり、子供の時間の多くを費やすことが可能だからです。

 

学習に割ける時間が少なく、基本的な教育が終わっている大人の場合は、はっきりした学習目的をもち、その達成に限定して学びたいと考えます。

 

そこで大人の学習カリキュラムは、目的を明確にし、目的の達成に役立つものであることを心がけたい。

反論もあり

こうした成人教育論に対しては、「それほど子供と大人の違いはない」とか、「双方の学習の原理を取り替えても、よく学べる場合がある」という反論もある。

 

参考文献:中原淳編著「企業内人材育成入門」ダイヤモンド社

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