日本心理学会倫理規定


▍第1章 心理学にかかわる者の責任と義務


 

1.社会に対する責任と義務

 

本学会の会員は、人々の健康と福祉の増進、自由で平等の社会の発展、さらに世界の平和や事前環境の保護を念頭においた活動を行わなければならない。

 

研究においても、教育や実践活動においても、心理学の専門性を保ちつつ他の領域の人々と手をたずさえて、社会の諸問題の解決に努めなければならない。

 

社会に対して誤った情報を提供したり、また心理学の知識の過剰な一般化を行って、人々を欺いたり、混乱させてはならない。

 

2.個人に対する責任と義務

 

 本学会の会員は、すべての人間の基本的人権を侵してはならない。研究においても、教育や実践活動においても、研究対象となる人々、あるいはともに活動する人々の権利を尊重し、同時にこれからの人々の属する家族、団体、地域社会に不利益をもたらすことのないように配慮しなければならない。

 

研究を行う場合には、目的や方法について十分に説明し、参加への同意を得ることが必要である。また研究の全過程を通じて、客観性、公正性を重んじ、偏見や差別のない態度を維持しなければならない。

 

人間以外の動物を研究の対象とする場合も、生命に対する尊厳をもって接し、動物の福祉に配慮しなければならない。

 

3.学問に対する責任と義務

 

 本学会の会員は、心理学の研究や実践の発展に貢献することが期待されている。研究においても教育や実践活動においても、科学的態度を堅持し、真理を探求するとともに、研究のオリジナリティや社会的有用性を追求しなければならない。

 

そのために、自らの専門性を高め、心理学的技能の研鑽、専門的知識の蓄積および更新に努め、他の領域の専門家による研究、教育、実践活動に敬意を払い、協力して学問に対する責任を果たさなければならない。